三十八日目
2021.1.2(土)
行程:クラウンヒル松山→五十三番円明寺→五十三番奥の院→鎌大師→道の駅風和里
ホテルは年末年始限定でウェルカムドリンク(アルコール含む)が飲み放題で昨晩は飲み散らかした。文字通りグラスをひっくりかえして液体を散らかした。ホテルの人ごめんなさいありがとうございます。
朝飯はバイキングに加えて、田作り、黒豆、かまぼこのおせちセットが出てきた。
ゆっくり朝飯をすまし7:30に出発である。
【五十三番円明寺】
国道196を北上し最短距離で五十三番円明寺へ急ぐ。すでにお寺には参拝者がいる。
本堂には四天王像が立っておりいやがおうにもテンションは上がる。
お大師さまもちゃんと公開されている。よい寺だ。
この辺は隠れキリシタンの伝承もあるらしく、境内にはキリシタン灯篭なるものが立っている。
寺を辞して奥の院を目指す。昨日、消防団のおっちゃんに
「奥の院まで行くの?遠いよー……」と呆れられた。
いやいや、ここまで歩いてきた距離と比べたら全然遠くないですよ、たった3kmですよ?と言ったが納得顔ではなかった。なんでだ??
とてもせまい道を歩く。後ろから軽トラがやってきていたが譲れないほどにせまい。ひらけたところで横に避けた。軽トラの運転手は嫌な顔一つせず、会釈をくれた。良い人だ。
奥の院まではお遍路看板は無い。唯一奥の院の百メートルほど手前に白地に赤字の四角いへんろ道保存協力会のへんろ道看板が現れた。奥の院に到着である。
6畳ほどのお堂はこじんまりしているがきれいに整備され「南無大師遍照金剛」ののぼりも立っている 。中をのぞくとほこりひとつなく綺麗に掃除されておりお供えの品もたくさん並んでいた。
奥の院を辞して北へ進む。
【北条市・鎌大師】
松山市から北条市へ、国道196沿いを海を見ながら歩く。海はとても青い。こんな綺麗な海を見ながらならば固いアスファルト歩きも苦にならない。
電車の形をしたカフェがあり、海に落ちるぎりぎりの場所にベンチが置かれている。誰も座っていないベンチセットが青い海を背景にしているさまはなんだか絵になる。
北条の集落には蓮福寺大師、西ノ下大師など大師堂がちらほらみられる。どこも綺麗に整備されており大きな大師像が立つ。信仰の深さをうかがわせる。
蓮福寺大師堂の前に白い軽トラがとまっており、横を通り過ぎようとすると年配の女性がやってきた。御接待である。はい、と渡されたのはティッシュにくるまれた何か。
「ジュース一本しか買われへんくて悪いけど」
と言いながら渡されたそれはきっと、私を見て車をわきにとめてわざわざくるんでくださったのだろう。現金であった。御接待とはいえ現金はものすごく受け取りづらい。目を丸くして驚いた後、すみません、ありがとうございます、を何度も言った。お遍路大変だね、全部歩くの?でも大丈夫か、ここまでこれたんだから、ファイトー!!と、めちゃくちゃ元気なおばあちゃんだった。どぎまぎしている私はテンションを合わせることができなくておばあちゃんに違和感を与えてしまったかもしれない。
四国の人々は(高知県以外は)よく話しかけてくれる。けれどなにせ私が話し下手すぎて、折角話しかけてくださったのにも関わらず、こちらは楽しい話ひとつもできず、相手に心地悪い気分をさせているかもしれないと常々思う。話しかけてくださったのに申し訳ないと感じる。
思い出す。古岩屋バス停で出会ったコーヒーの彼。彼は、
「せっかく話しかけてくれたんやから、話しかけてよかったなーと思ってもらいたい。だから、コーヒーでも点ててちょっと小一時間お話しよと思てるんですよね」と言っていた。
さすがにコーヒーを点てるまではいかないが、せっかく話しかけられたのだからちょっとお話しましょか、という余裕は私も持ちたい。
でも話し下手なのは仕方ないよね。会話術っていうのは場数を踏まないとうまくならないよね。ここは人がいい四国の方々の胸を借りて、お遍路を通して会話の練習をしていこう。そう前向きにとらえることにした。
ティッシュにくるまれた現金は千円札一枚。……飲食に使うのは悪い気がしたのでお寺の納経所のみで使用することとした。
北条市の中心部から郊外へ抜ける。次の目的地は『鎌大師』だ。鎌大師の由緒を下に記す。
『弘法大師が行脚の途次、この地に悪疫が流行していることを哀れんで、村人に鎌で刻んだ大師像をあたえたところ、無事平癒したので、その大師像を本尊としてこの地に堂を建て、「鎌大師」と呼んで深く信仰されてきたと言い伝えられる。』
悪疫封じの御大師様。ということは昨今の御時勢、参拝者はたくさんいるだろう、境内にあるヘンロ小屋にあるノートをめくってみると案の定『新型コロナ退散』などの文面が踊っていた。
ちなみにこのヘンロ小屋は野宿禁止である。野宿はしないが雨が弱くなるまで遍路小屋で座っていた。
雨が弱まってきた。さてそろそろ出発である。
来た道を戻って幕営予定地の『道の駅風和里(ふわり)』へ向かおうとしたがどうやら横道があるらしい。住宅地の間を抜けて海岸沿いに出る。海岸沿いを道の駅に向かう。なぜか沖縄のブルーシールアイスの店舗がある。購入はしなかった。ブルーシールアイスを見送ってさらに進むと道の駅に到着だ。
【道の駅風和里】
道の駅は年末年始で休業中だ。休業中だが駐車場は車がいっぱい。観光客もたくさんいる。バイカーも集合しているし、キャンピングカーは4台もある。
そしてこの書き入れ時を逃すものかと営業している店舗、というかキッチンカーが駐車場に2台ある。ひとつはラーメンでひとつはコーヒーだ。さすがに繁盛している。さらに奥に行くと道の駅が休業中のさなか、アイスクリーム屋だけが経営している。さすがにこの時期にアイスクリームは売れないようで売れ行きはふるわないようだ。
アイスクリーム屋の手前が飲食スペースになっている。屋根があって、ごみ箱、椅子、机がそろっていて幕営には便利だ。さらに人があまり来ない。トイレの導線からも離れている。幕営好適地だ。今日はここにテントを張ろうとソフトクリームをなめながら即決した。
ベンチに重たいザックを置いて夕日見物にでかける。道の駅から道路をはさんで向いは海だ。西に展望が開けている。風が強くて寒いので壁があるところに腰かけて、サングラスをかけて落ちていく夕日を観察した。
夕日観察を終えて夕食である。さきほど目を付けたベンチでおでんをあたためて汁にうどんを漬ける。うまい。温かい飯が胃袋にしみる。この道の駅はごみを外から持ち込んでもOKのようだ。非常にありがたい。
寝る前のストレッチをすまし、明日以降3日くらいの旅程を地図をにらみにらみ確認して眠りについた。
【歩いた距離、歩数】
28.86km 41,949歩
【使ったお金】
ごはん 1,724円
お賽銭 1円
ビタミン剤 1,780円
2021.1.2(土)
行程:クラウンヒル松山→五十三番円明寺→五十三番奥の院→鎌大師→道の駅風和里
ホテルは年末年始限定でウェルカムドリンク(アルコール含む)が飲み放題で昨晩は飲み散らかした。文字通りグラスをひっくりかえして液体を散らかした。ホテルの人ごめんなさいありがとうございます。
朝飯はバイキングに加えて、田作り、黒豆、かまぼこのおせちセットが出てきた。
ゆっくり朝飯をすまし7:30に出発である。
【五十三番円明寺】
国道196を北上し最短距離で五十三番円明寺へ急ぐ。すでにお寺には参拝者がいる。
本堂には四天王像が立っておりいやがおうにもテンションは上がる。
お大師さまもちゃんと公開されている。よい寺だ。
この辺は隠れキリシタンの伝承もあるらしく、境内にはキリシタン灯篭なるものが立っている。
寺を辞して奥の院を目指す。昨日、消防団のおっちゃんに
「奥の院まで行くの?遠いよー……」と呆れられた。
いやいや、ここまで歩いてきた距離と比べたら全然遠くないですよ、たった3kmですよ?と言ったが納得顔ではなかった。なんでだ??
とてもせまい道を歩く。後ろから軽トラがやってきていたが譲れないほどにせまい。ひらけたところで横に避けた。軽トラの運転手は嫌な顔一つせず、会釈をくれた。良い人だ。
奥の院まではお遍路看板は無い。唯一奥の院の百メートルほど手前に白地に赤字の四角いへんろ道保存協力会のへんろ道看板が現れた。奥の院に到着である。
6畳ほどのお堂はこじんまりしているがきれいに整備され「南無大師遍照金剛」ののぼりも立っている 。中をのぞくとほこりひとつなく綺麗に掃除されておりお供えの品もたくさん並んでいた。
奥の院を辞して北へ進む。
【北条市・鎌大師】
松山市から北条市へ、国道196沿いを海を見ながら歩く。海はとても青い。こんな綺麗な海を見ながらならば固いアスファルト歩きも苦にならない。
電車の形をしたカフェがあり、海に落ちるぎりぎりの場所にベンチが置かれている。誰も座っていないベンチセットが青い海を背景にしているさまはなんだか絵になる。
北条の集落には蓮福寺大師、西ノ下大師など大師堂がちらほらみられる。どこも綺麗に整備されており大きな大師像が立つ。信仰の深さをうかがわせる。
蓮福寺大師堂の前に白い軽トラがとまっており、横を通り過ぎようとすると年配の女性がやってきた。御接待である。はい、と渡されたのはティッシュにくるまれた何か。
「ジュース一本しか買われへんくて悪いけど」
と言いながら渡されたそれはきっと、私を見て車をわきにとめてわざわざくるんでくださったのだろう。現金であった。御接待とはいえ現金はものすごく受け取りづらい。目を丸くして驚いた後、すみません、ありがとうございます、を何度も言った。お遍路大変だね、全部歩くの?でも大丈夫か、ここまでこれたんだから、ファイトー!!と、めちゃくちゃ元気なおばあちゃんだった。どぎまぎしている私はテンションを合わせることができなくておばあちゃんに違和感を与えてしまったかもしれない。
四国の人々は(高知県以外は)よく話しかけてくれる。けれどなにせ私が話し下手すぎて、折角話しかけてくださったのにも関わらず、こちらは楽しい話ひとつもできず、相手に心地悪い気分をさせているかもしれないと常々思う。話しかけてくださったのに申し訳ないと感じる。
思い出す。古岩屋バス停で出会ったコーヒーの彼。彼は、
「せっかく話しかけてくれたんやから、話しかけてよかったなーと思ってもらいたい。だから、コーヒーでも点ててちょっと小一時間お話しよと思てるんですよね」と言っていた。
さすがにコーヒーを点てるまではいかないが、せっかく話しかけられたのだからちょっとお話しましょか、という余裕は私も持ちたい。
でも話し下手なのは仕方ないよね。会話術っていうのは場数を踏まないとうまくならないよね。ここは人がいい四国の方々の胸を借りて、お遍路を通して会話の練習をしていこう。そう前向きにとらえることにした。
ティッシュにくるまれた現金は千円札一枚。……飲食に使うのは悪い気がしたのでお寺の納経所のみで使用することとした。
北条市の中心部から郊外へ抜ける。次の目的地は『鎌大師』だ。鎌大師の由緒を下に記す。
『弘法大師が行脚の途次、この地に悪疫が流行していることを哀れんで、村人に鎌で刻んだ大師像をあたえたところ、無事平癒したので、その大師像を本尊としてこの地に堂を建て、「鎌大師」と呼んで深く信仰されてきたと言い伝えられる。』
悪疫封じの御大師様。ということは昨今の御時勢、参拝者はたくさんいるだろう、境内にあるヘンロ小屋にあるノートをめくってみると案の定『新型コロナ退散』などの文面が踊っていた。
ちなみにこのヘンロ小屋は野宿禁止である。野宿はしないが雨が弱くなるまで遍路小屋で座っていた。
雨が弱まってきた。さてそろそろ出発である。
来た道を戻って幕営予定地の『道の駅風和里(ふわり)』へ向かおうとしたがどうやら横道があるらしい。住宅地の間を抜けて海岸沿いに出る。海岸沿いを道の駅に向かう。なぜか沖縄のブルーシールアイスの店舗がある。購入はしなかった。ブルーシールアイスを見送ってさらに進むと道の駅に到着だ。
【道の駅風和里】
道の駅は年末年始で休業中だ。休業中だが駐車場は車がいっぱい。観光客もたくさんいる。バイカーも集合しているし、キャンピングカーは4台もある。
そしてこの書き入れ時を逃すものかと営業している店舗、というかキッチンカーが駐車場に2台ある。ひとつはラーメンでひとつはコーヒーだ。さすがに繁盛している。さらに奥に行くと道の駅が休業中のさなか、アイスクリーム屋だけが経営している。さすがにこの時期にアイスクリームは売れないようで売れ行きはふるわないようだ。
アイスクリーム屋の手前が飲食スペースになっている。屋根があって、ごみ箱、椅子、机がそろっていて幕営には便利だ。さらに人があまり来ない。トイレの導線からも離れている。幕営好適地だ。今日はここにテントを張ろうとソフトクリームをなめながら即決した。
ベンチに重たいザックを置いて夕日見物にでかける。道の駅から道路をはさんで向いは海だ。西に展望が開けている。風が強くて寒いので壁があるところに腰かけて、サングラスをかけて落ちていく夕日を観察した。
夕日観察を終えて夕食である。さきほど目を付けたベンチでおでんをあたためて汁にうどんを漬ける。うまい。温かい飯が胃袋にしみる。この道の駅はごみを外から持ち込んでもOKのようだ。非常にありがたい。
寝る前のストレッチをすまし、明日以降3日くらいの旅程を地図をにらみにらみ確認して眠りについた。
【歩いた距離、歩数】
28.86km 41,949歩
【使ったお金】
ごはん 1,724円
お賽銭 1円
ビタミン剤 1,780円